語いを豊富に。語感を養う。

1 語い(彙)を豊富にすること。

 そのためには、いわゆる名言・名文集や、新聞・雑誌などを日頃から数多く読み、知らず知らずのうちに多くの語彙(い)を知り、その慣用を身につけることである。語彙(い)が貧弱だと文章に奥行きがなくなるので注意したいものである。

2 語感を養うこと。

 語彙(い)を手に入れて、そのことばのもっている語感を感じ取ることが大切である。フランスのフローベルも言ったという、「その場にきちんとあてはまることばは、ひとつしかない」と。語感を養うためには、単語の意味をよく把握しておかなくてはならない。例をあげて説明しよう。例えば、「友達」ということばにもいろいろある。「友人」と「親友」とは意味が違うし、「竹馬の友」ともなるともっと違いが出てくる。「悪友」ということばは必ずしも正札どおりの意味ではない。「ありがとう」にも「感謝」「深謝」「厚謝」といろいろある。「芳志」「厚意」「好意」の三つは似通っているが、おのおの使いかたがちがう。「芳志」は他人の親切な志を敬っていうことばである。 「ご芳志深謝たえません」 これは文語的な、少しかたいあらたまったときの表現で、手紙文などでよく用いられる。「厚意」とは思いやりのあるこころ、ねんごろなこころという意味で、「厚情」の「厚」である。「好意」は、「あの人は私に好意を寄せている」といった使いかたで、親愛感をあらわす。したがって「ご好意に深謝いたします」では不適当である。こうしたニュアンスがつかめていないと「厚意」と書くべきところに「好意」と書いてしまう。同音からくる錯覚である。

「大学生の作文・論文の基礎」(陣之内宣男) P73〜P74より引用

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