パラグラフは論理単位

 パラグラフの概念はもともと日本語にはなかった。明治36年(1903)、文部省の国定教科書が、パラグラフに相当するものとして、改行して1字下げる「段落」を取り入れたのが、最初と言われている。

 英文学者の大津栄一郎は『英語の感覚』の中で、次のように述べている。

 英語では、伝達したい内容がパラグラフで表現され、そういうパラグラフがいくつか集まって、全体で、話者の主張や考えが形づくられるのである。

 事実、アメリカの大学では、パラグラフの構成が英語の教育の重要な部分を占めているという。外山滋養比古は、日本人学生はパラグラフを理解しないと嘆いていたアメリカ人教師のエピソードを紹介している。

 なぜパラグラフが重要なのか。それは、パラグラフが「論理単位」だからである。一つのパラグラフには、一つの論理テーマが入る。パラグラフという論理の単位がつながて、全体としての論理を展開するからである。したがって、複数のテーマが一つのパラグラフに入ると、論理単位としての意味がなくなり、単なる「段落」になってしまう。一つの論理単位が、複数のパラグラフに分かれると、論理そのものが崩壊してしまう。

 パラグラフは、論理の流れを作り、ときには、その流れを変える。論理を飛躍させるとき、話題を変えるときには、新たなパラグラフにする。

 パラグラフの最初に、テーマを示す「トピック・センテンス」があると、理解が早まるであろう。パラグラフを理解しやすくするもう1つの方法は、「したがって」、「これに反して」などの接続詞でパラグラフの最初の文章を始めることである。このような接続詞があると、パラグラフの論理的つながりが明瞭になる。

 

「知的文章とプレゼンテーション」(黒木登志夫)P52〜P54より引用

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